28 June, 2013

INSEAD 授業紹介:Strategies for Asia Pacific (SGP)

こんにちは。13JのAIです。
卒業間近の時間を使ってこれまで受けた授業について振り返ります。今後MBAを取りたいと考えている方の参考になれば幸いです。


At a glance

成長著しいアジアにおいて、欧米諸企業によるFDIは未だに伸び悩んでいる。その主な原因が、「liability of foreignness」(外国籍/人であることによるハンディキャップ)によるビジネス運営における困難さにある。例えば文化、商習慣、標準、法制度、政治等による様々なギャップによる混乱等。この授業では、このようなliability of foreignnessの解消を目的に、アジア各国を貫く普遍的な要素と、各国それぞれの歴史や個別要素を知り、その上でアジア各国における市場参入、企業運営、アライアンス等における注意点を学ぶ。まさにINSEAD、まさにアジアキャンパス!という授業がこれ。

授業では、特に日本、韓国、中国、各国中華系民族(いわゆる華僑)、インド、タイを取り扱う。

もともとがアジアおよび世界各国からの生徒が集まっているため、教授からのレクチャーに加えて、各国出身者によるコメントでのReality Checkもされる、そんな授業。

Key takeaways
·                     Confucianism as an underlying assumption
アジアの一ヶ国である日本出身であって、なおアジア各国における儒教思想の浸透具合には改めて驚かされる。カースト、金銭的価値観、家族主義、エリート思想、様々なアジア各国における要素が儒教をルーツにしている事に気づいた。

·                     Chaos and adaptation
そしてカオス。一番最初の授業は、タイで工場を運営するINSEADの卒業生の一日(だったと思う)のメールを全て見た上で、それぞれのimprication, priority, actionを議論するというものだが、これが究極的に難しい。欧米や日本と異なる組織間の上下関係、文脈、文化を考慮することがどれほど難しいのか、短いセッションの間に実感できた。まさか工場の排水路の破損について「時間があるときにいつでも見に来てください」といわれた内容が最もクリティカルだとは、夢にも思わない・・・・

·                     Proper Localization & Partnership
アジア進出の際に、念仏のように聞く「ローカリゼーション」。では、何をどの程度すればいいのか?答えは常にケースバイケースだが、そのケースに多く触れる事で、感度をある程度つかむ事ができた。授業を通じて最も有益だったのが、結局現地化する際、パートナーから学び、現地の従業員や顧客から学び、その場でローカリゼーションの程度を段階的に進められる柔軟さが最も重要だという点。
·                     White space, really?
最終的には、アジア市場に対する大きな誤解である「ホワイトスペース」について。中国におけるビール市場参入ケースを元に、欧米のメジャープレイヤーがいない事とホワイトスペースはイコールではない事、liability of foreignnessを抱えながら戦う事の困難さ、そして必要な経営資源の深さと量に対する正しい理解、これについて学ぶ事ができた。

感想

とにかく毎回新鮮な驚きをもって授業を聞くことが出来た。日本出身で、シンガポールに住んでいて、アジア各国に何度も行った事がある、そんなレベルで得られる理解では、到底アジア進出やアジアにおけるビジネスオペレーションができない事を実感した。

また、アジア進出となった瞬間に、多くの人が古典的な戦略のフレームワークを忘れてしまう事。そしてそれを地道にやる事とnon-market information(文化、商習慣、標準、法制度、政治等)の分析と現地での習得が重要な事についても、気づく事ができた。


教授に一言!

Michael Witt
はドイツ人らしい教授で、常に授業においてはフレームワークと論理的なディスカッションを要求する。そして、圧倒的な知識。日本にも長く住んでいたため、日本語が多少出来、また正しく日本の歴史を理解している事。それだけなく、韓国、中国、インド等の主要マーケットについても圧倒的な知識を持っている事に驚くばかり。インド人がインドについて教授に質問をする、そんな場面が続出した。

厳しい教授だったけど、一番尊敬。